目次
経緯
- 2023年10月31日に事件発生
- 13時ごろ、埼玉県戸田市新曽で「3階建ての木造アパート1階部分から煙が出ている」と通報あり
- 消防車等14台が出動し火は2時間後に鎮火
- アパートは全焼
- 13時ごろ、埼玉県戸田市にある戸田中央総合病院で発砲音あり(2発)
- 何者かが屋外から1階の診察室に向けて発砲し、バイクで逃走
- 40代男性医師と60代男性患者が軽傷を受ける
- 14時14分ごろ、埼玉県蕨市蕨郵便局に男性が拳銃を持って20代と30代の女性職員2人を人質に立てこもっていると通報あり
- 複数回の発砲音
- 被疑者は拳銃の他に以下を持ち込んでいた
- 包丁のような刃物2本
- 18リットル・10リットルのポリタンク2個
- 500mlのペットボトル2本
- 複数のライター
- 被疑者は黒地に白いラインが入ったジャージ姿、内側から拳銃を取り出す姿が撮影されている
- 14時40分ごろ、蕨郵便局で1発の発砲音
- 14時50分ごろ、蕨郵便局付近に複数のパトカーが周辺の道路を塞ぐようにして停車、パトカーの傍で警察官が盾を構えて中の様子を伺う
- 警察は立てこもっている男と電話で会話を続けて人質の解放を交渉
- 男が警察官に「昨年、郵便局の配達用バイクと事故になり、その対応に不満があった」と言い、郵便局長や事故対応した警察官と面会させるよう求めていた
- 戸田中央総合病院ともトラブルがあり、病院長への面会を要求していた
- 16時ごろ、埼玉県警察から要請を受けた警視庁が現地に刑事部捜査一課特殊犯捜査係(SIT)を派遣
- 16時半ごろ、立てこもっている男が自動ドアを開けて警察官に何かを叫ぶ声
- 19時17分ごろ男が20代女性を解放
- 女性は郵便局の正面玄関から出てきて中に向けて深く一礼、その後、数人の警察官に囲まれて保護
- 女性は怪我なし
- 21時過ぎ、30代女性が被疑者の隙を見て逃走
- カウンター付近の出入り口の近くから自力で逃げた
- 女性は怪我なし
- 22時20分ごろに警察が郵便局の中に突入して被疑者の身柄を確保し、その場で男を人質強要処罰法違反の容疑で緊急逮捕
- 22時40分ごろ、被疑者を乗せた車両が郵便局を出発、10分後に蕨警察署に到着
- 警察の取調べに対し、戸田中央総合病院への発砲と戸田市のアパートへの放火も供述している
- 13時ごろ、埼玉県戸田市新曽で「3階建ての木造アパート1階部分から煙が出ている」と通報あり
- 2023年11月21日
- 警察官に向けて発砲した容疑で再逮捕の方針が決定
被疑者・動機
被疑者は86歳男性で癌を患っている。被疑者男性に関する証言等は以下の通り。
- 戸田中央総合病院では受付に対して食ってかかるように大声をあげていたとの証言あり
- 事件前日に家賃の催促と立ち退きの説明があった
- 10月分の家賃支払いが滞納していた
- アパート離接の市道が拡張工事されることに伴い、住民に立ち退きするチラシを投函していたが、被疑者と連絡がつかず事件前日に会って説明をした
- 足が悪く、普段はすり足のような様子で歩いていた
- 同じアパートの女性の父親に「おまえの家とはあいさつしねぇぞ」と突然怒ることがあった
- 20年ほど前に女性と同居していたが、喧嘩をしたさいに被疑者がベランダからテレビを投げ捨てたりしていた(現在は同居していない)
- 2008年ぐらいに40歳前後の妻がおり、度々喧嘩になると被疑者がリモコンを投げたりしてテレビやDVDを壊し、2年間で7台以上のTVを購入したとも
- 電気店経営者「修理で何度も訪問しているが、道端で会えば挨拶するし、修理代金は大目に払ってくれ、飲み物を出してくれる等、穏やかで優しい人物だった」
- 拳銃を持っていたという自慢話を知人や知り合いの大工に言っていた
被疑者は以下の供述をしている。
- 戸田中央総合病院の受付窓口の対応に不満を持っていた
- 患っている癌の診療の対応を巡ってトラブルになっていた模様
- 昨年10月中旬に蕨市郵便局の配達用バイクと接触事故になり、その対応に不満があった
- 「怪我をした」と主張したものの物損事故として処理されたことが不満だったらしい
拳銃を持っていた経緯として、捜査関係者は1992年の暴力団対策法施行前に暴力団と交流があり、その時に入手した拳銃を長年隠し持っていた可能性があるとして、入手経路を調べるとしている。
影響
教育機関への影響
- 蕨市立中央小学校では児童・保護者の安全のため児童を下校させず校内待機させていたものの、17時ごろにバスで近くのコミュニティセンターへ移動させた
- コミュニティセンターへ子供を迎えに来た保護者が列を作り、低学年から順番に親と一緒に帰宅
- 戸田市の小学校(12校)と中学校(6校)は校内に児童を待機させていたが、警察と協議の上、16時半ごろから教員が付き添っての集団下校となった
- 蕨郵便局から100m付近にある保育園では、市役所からの連絡で事件の通知を受け園内に留まるよう要請され、カーテンも閉めてハロウィンの行事を延長して不安を与えないようにしていた
話題
現場の警察官がオレンジ色のタンクのようなものを抱えていた
日本ドライケミカル株式会社「クイックスプラッシャーワイド」より引用、URL、2023年11月2日閲覧
日本ドライケミカル株式会社のクイックスプラッシャーワイドという製品のようで、火が出る前に使う消火器として、中に入っている特殊な消火剤を噴射することによりガソリン等の可燃性の液体の表面を瞬時に覆って火が広がるのを防ぐ効果があると紹介されている。
京都アニメーション放火殺人事件(アニメーション制作会社の社屋に男がガソリンを撒いて放火、社屋全焼、36名死亡、33名重軽傷という大惨事)に心を痛めた同社が、消火ではなく抑制を目的として開発したとのこと。
私人逮捕系YouTuberによる騒動
- 私人逮捕系YouTuber2名が現場で中継取材しているNHK記者に「今生放送しているのか?」「地上波ちょっとNGなんですよね」等と詰め寄り、中継画面がスタジオの映像に切り替わった
- 私人逮捕系YouTuberとは、自身の憶測のみで犯罪者と決めつけた一般人を私人逮捕するさまを動画にしている人を指す
- 撮影を制止しようとした警察官に「行かせてください」「仲間がいるんで」等と交渉もしていた
- その後SNSでYouTuberが「被害者や迷惑を受けた人の気持ちを考えろ、生中継は犯人を刺激する」と憤っていた
SIT隊員が電話を所持
- 17時30分ごろ、民放で「電話らしき物を持つ警察官」とテロップを打ってSIT隊員らしき人物を映していた件が話題に
- 元捜査一課特殊犯にいた人が「それはおそらくただ連絡をしているだけだろう」と指摘
- 電話の相手はおそらく警察で、こういう時に私用の電話はしないはずだとも
- その方曰く「死を覚悟し突入する現場の警察官は【機密保持のため家族とも連絡が取れない】」
参考URL
- NHK NEWS WEB「【詳細】埼玉 立てこもり 86歳容疑者 逮捕 女性職員は無事」、URL、2023年11月2日閲覧
- NHK NEWS WEB「埼玉 立てこもり 容疑者 病院と郵便局に不満あったと説明」、URL、2023年11月2日閲覧
- 東京新聞Web「戸田・蕨立てこもり事件 容疑者逮捕で幕」、URL、2023年11月2日閲覧
- Yahoo!ニュース「埼玉郵便局立てこもり、100m先に保育園…園児14人がカーテン閉めたホールにとどまる」、URL、2023年11月2日閲覧
- 日本ドライケミカル株式会社「クイックスプラッシャーワイド」、URL、2023年11月2日閲覧
- 文春オンライン「「パチンコ常連」「いつも黒ジャージでウロウロ…」埼玉・郵便局立てこもり事件 近隣住民が見ていた男の「日常」」、URL、2023年11月2日閲覧
- JCASTニュース「埼玉立てこもり、現場凸の私人逮捕系YouTuberに批判も… 本人逆ギレ「犯人和ませた俺達の手柄だろ!?」」、URL、2023年11月2日閲覧
- ニコニコ大百科「私人逮捕系youtuber」、URL、2023年11月2日閲覧
- gooニュース「容疑の男拳銃は長年所有か 暴力団と交友歴 埼玉の郵便局立てこもり」、URL、2023年11月2日閲覧
- 【速報】埼玉・蕨市の郵便局“人質立てこもり”事件で男を再逮捕へ 警察官に向け発砲した疑いなど 埼玉県警、URL、2023年11月21日閲覧
- 「テレビを壊して7回購入」「事件前日、家賃を初めて滞納」埼玉・立てこもり老人(86)が事件直前に見せていた「異変」、URL、2023年11月21日閲覧