端緒
- 2011年1月、デパートからの宅配便を装った男が東京都目黒区の民家を訪れ、応対に出た老人男性に刃物を突きつけて現金を要求
- 拒否された男は老人男性ともみ合いになり、馬乗りになって相手の胸など数カ所を刺して殺害
- 騒ぎを聞きつけた近隣住民がかけつけると、男は刃物を突きつけて威嚇し目黒駅方面に向けて逃走
- 近隣住民からの110番通報で事件が発覚
初動
- 通報を受けて緊急配備が発令
- 目黒署員、刑事部第二機動捜査隊が現場に急行
- 同報を受けた刑事部捜査一課在庁番の一個班、捜査支援分析センターの機動分析係も急行
- 班長の警部以下11名
- 捜査一課理事官、捜査一課長も臨場
- 同報を受けた刑事部捜査一課在庁番の一個班、捜査支援分析センターの機動分析係も急行
- 捜査支援分析センターの機動分析係は現場周辺の防犯カメラ画像回収に奔走
- 捜査一課強行犯捜査・初動捜査班の捜査員も防犯カメラ画像回収に加わる
- 防犯カメラ画像は店舗によって3日程度で消去されるようになっているケースもあるため、回収作業は時間との闘い
- 被疑者は中目黒駅方面に逃走したことが目撃証言により判明
- 逃走経路付近のスーパー、コンビニ、パチンコ店に防犯カメラ映像の提供を求めた
- 商店街中の低層マンション一階部分に設置された防犯カメラが被疑者の姿を映していた
- 左手に大きなボストンバッグを持った中年男性
- 上から見下ろすように正面と背後からの映像が収められていた
- 捜査員はマンション3階の管理人室で監視カメラ映像を確認、マンション経営者からDVDで録画映像の提供を受けた
- 監視カメラ映像の回収で被疑者の行動が判明
- 事件現場となった民家から中目黒駅に向かい、改札を通り抜けて構内のトイレに数時間入り、その後にまた改札を出てタクシーに乗ったことまで判明した
特別捜査本部設置~捜査~逮捕
- 目黒警察署に特別捜査本部を設置
- 捜査本部長は警視庁刑事部長、副本部長は目黒署長
- ひな壇の陣容
- 捜査一課長、捜査一課理事官、管理官、第二機動捜査隊長、捜査支援分析センター所長、目黒警察署刑事課長
- 防犯カメラ映像の収集・分析によって被疑者の犯行前の足取りが判明
- 中目黒駅での下車前に、日比谷線の恵比寿駅で下車していた
- その前は東京駅からJR線に乗車していたことも判明
- 東京駅ではバスロータリーの防犯カメラに被疑者が映っており、福島県いわき市からの高速バスから下りてきたことも判明
- 該当する高速バスの所有企業にて乗客名簿を取得
- それらしい人物がヒット、予約時の記録から自宅住所と携帯電話番号が判明
- 捜査員が福島県いわき市にある自宅住所に向かい、被疑者に関する聞き込みを開始
- 産業廃棄物処理会社を経営していたが経営に行き詰まり廃業していた
- 被疑者の行動確認・周辺の捜査を開始
- 捜査一課殺人犯捜査第十係、警部以下4人
- 被疑者はほとんど家を出てこない
- 近所のホームセンターで凶器となったナイフ購入の事実が判明
- 取引先の聞き込みでは「金に困っている様子はあったかもしれない」という回答も
- 捜索差押令状によって電話の通話記録を取得、韓国へ頻繁に通話していることが判明
- 関係者との事情聴取で被疑者が事件前に韓国人ホステスに入れあげていたことも判明
- 韓国人ホステスから「子供の難病を治してほしい」と懇願され、しばしば韓国に渡っては彼女に金を渡していた
- 行動確認から2週間後、被疑者が家を出て茨城空港へと向かって車を走らせた
- 捜査班も2台の捜査車両で追跡
- 特別捜査本部のデスクから「被疑者の身柄を直ちに確保し任意同行せよ」との指示を受けて、8人の捜査員が空港で被疑者を取り囲み「目黒の事件で聴きたいことがある」と地元の警察署へ任意同行
- 取調べが始まりほどなくして被疑者は事件への関与を供述し始め、特別捜査本部は強盗殺人容疑で逮捕状を取り、目黒警察署まで任意同行させ署内で逮捕状を執行、逮捕となった