コンテンツへスキップ事件:2012年・漫画「黒子のバスケ」脅迫事件
端緒
- 2012年10月、東京都千代田区の上智大学キャンパス内にしょうゆ差しのような容器と犯行声明文が発見された
- 警視庁刑事部科学捜査研究所の分析によりしょうゆ差しのような容器の中身は硫化水素だと判明
- 上智大学は漫画の作者が在籍している大学
- 漫画に関連する杉並区の出版社に脅迫状と白い粉が届く
- 漫画のアニメ番組を放映する放送局にも脅迫状が届く
特別捜査本部設置~捜査~逮捕
- 単なる愉快犯ではないとして警視庁刑事部長が捜査本部を設置
- 第一特殊犯捜査特殊犯捜査第二係と第二特殊犯捜査特殊犯第五係から20人
- 捜査支援分析センター機動分析係
- 麹町警察署の刑事組織犯罪対策課
- 漫画に関するイベント会場となった千葉県千葉市の幕張メッセに脅迫文が届く
- 福岡県福岡市内の漫画関連イベント中止を求める脅迫状が博多区役所、イベント会場など11カ所に届く
- 合計500通に及ぶ脅迫状から指紋と唾液の採集を試みたが検出できなかった
- 捜査支援分析センター機動分析係が上智大学周辺で回収された防犯カメラから不審な男を発見
- 2013年に入り犯人が動き出す
- 大阪府大阪市内で予定された同人誌関連イベントの会場に漫画関連作品の参加中止を求める脅迫状が届く
- 国内16カ所から投函された脅迫状のうち大阪は他の地域に比べて突出した数だったことから、犯人は大阪に土地勘があると判断
- コンビニチェーン大手に漫画の玩具付き菓子に毒を入れて店頭に置いたという脅迫状が届く
- 菓子は千葉県浦安市のコンビニ店内で発見され、店内および周辺の防犯カメラを捜査支援分析センターが解析して不審人物を把握した
- 「犯人は大量の脅迫状を送りつけているが、送り先を事前にパソコンで調べている可能性がある」として、脅迫状の送付先となった70社から合計43億5000万件のアクセス履歴を提供させ、同一のIPアドレスからのアクセスがないか調べた
- 捜査支援分析センター技術支援係が民間会社の協力を得て「膨大な履歴を高速で検索・分析」できるソフトを活用した(データウェアハウス)
- 大阪府大阪市内のネットカフェのパソコンから事件関係先が検索されている共通項を発見
- パソコンを特定したが利用者の会員証や住所は実在しないものだった
- しかし店内の防犯カメラから男が「黒地に白いラインが2本入ったリュック」を持っていることを確認
- 大阪駅周辺で見当り捜査を敢行
- まったく同じリュックを持った男が現れて東京行きの高速バスに乗り込んだ
- 捜査員2名が同乗し、4名の捜査員が捜査車両で尾行し監視下に置く
- 新宿駅のバスターミナルで下車した男が山手線で恵比寿駅に移動、下車して駅近くの郵便ポストに何かを投函しようとしたところで職務質問
- リュックの中から20通の脅迫状を発見
- その月に予定されていた漫画関連のイベント会場に宛てた脅迫状だった
- 男「ごめんなさい。負けました」
逮捕
- 警視庁捜査一課は当時36歳の元派遣社員の男を威力業務妨害容疑で通常逮捕した
- 男は法廷にて自分が起こした事件を「人生格差犯罪」と呼び、以下のような動機を説明した
- 小学校に入っていじめに遭い父親からのDVを受けていたため当時から自殺を考えていた
- 自分の人生は30代で終わったと考え、自分とあまりにもかけ離れた成功者である「黒子のバスケ」作者への妬みから自殺の道連れにしようと考えての犯行だった